よいどRADIO第三回UPっP!.
さあ!よいどRADIO第三回目がUPされたがな~~もし~!!
巻いていきましょう~という前回、前々回の反省がついに活かされ、今回はなんと45分を切りました!!これによりMP3の圧縮率を下げることができ、音質UPでお送りしております!!
このブログは、よいどRADIOの更新に(ゆるーく)連動する形で編集作業に関わるノウハウをお伝えしております。
オーディオ編集に関わる「分からないこと、知りたいこと」、などございましたらどしどしこのブログのコメントなどに書いてやって下さい。コメントへの返信、あるいは次回の更新時に私の知りえる範囲でお答え致しますです~!
なお、本文中の”(22:22)”という表記は今回のよいどRADIO内での再生箇所を表します。この場合は説明している音が、よいどRADIOの再生開始から22分22秒後に聴くことが出来るという意味となります。
今回のドラマ『みかえるそうる』のヒロインは封月七海(ほうずきななみ)さん演じる「真水」です。封月七海さんは企画屋パッションベジタブルとは結構長い仲というか、彼女の一番最初の収録参加が企画屋パッションベジタブル製作のボイスドラマだったという経歴の持ち主なのです。
さて、今回は「足音」の処理を紹介したいと思います。
世の中は広いもので(?)、足音を専門に集めた効果音ライブラリCDなんてものが存在していたりします。60分まるまる足音ばっかりというものです。
「これだけ豪勢に足音の音ばかり集まっていれば、ほとんどのシチュエーションでどれかの音が使えるはず!」とお思いになるかも知れません。しかし、実際にボイスドラマで足音を入れてみようと思いますと、系統的にはあっているのだけれど、ちょっとニュアンスが違うんだよね~、という音ばかりで、以外とそのままでは使えなかったりします。
何気に足音も作品の世界を表現する重要なツールといいますか、足音は口ほどに語るものなのです。マジマジよ~
ライブラリをそのまま使うだけでは中々表現できない部分を編集によって表現してしまう方法をお教えいたしましょう!
距離感をコントロール
「割と遠くの方から足音が近づいてきて目の前で足を止めるシチュエーション」(27:58)を、もっとも簡単に表現する方法は、靴音をフェードイン(小さい音量から大きい音量に連続的に変化させる。)させることです。単純に遠くの音は小さく、近くの音は大きく聞こえるという経験則に基づいて、音量操作によってのみ、遠近感を表現するというわけです。
これだけでもある程度デフォルメされた感覚として「近づく=音量が小から大に変化」「遠ざかる=音量が大から小に変化」というように距離の変化を感じさせることができます。
もう1つよくやる方法は、靴音が始まるときは右か左に振っておいて、人が近づいてくるほど徐々に靴音を真ん中に近づけてゆくというものです。これも巷のCDドラマとか、あるいはアニメ映画なんかではしばしば用いられるテクニックといえます。
しかし、もっと積極的な加工として、「音の質感」をコントロールすれば、より的確にシチュエーションを表現することができます。
例えば、遠くの音ほど「曇って聞こえる」という現象があり、これを表現できればよりリアリティが増します。また特に建物の中や、建物に囲まれたシチュエーションでは、遠くの音は近い音に比べて「反響して聞こえる」という性質を持ちます。
これらの性質を音質変化として靴音に盛り込むには、音量変化以上に積極的なエフェクトを活用する必要があります。
では、その具体的方法の説明に移りたいと思います。
「曇って聞こえる→くっきり聞こえる」の変化を表現するために、例えば僕の使っている波形編集ソフトAdobe Audition1.5では、フィルタのモーフィング機能を使うことができます。
最初に1KHz以上の帯域を-10dB/Oct(1オクターブ辺り10dB)程度のカーブで減衰させるようなフィルタ特性にしておいて、近づくにつれてフィルタがかからないように(つまりはフラットなカーブ、というより直線に)すれば自然な遠近感が表現できると思います。ま、最初に何Hzから何dB減衰させておくかは表現したいシチュエーション次第でしょう。「壁の向こう側」など特別なシチュエーションでは、1KHzといわず200Hzくらいからカットしてしまっても良いと思います。基本は「シチュエーションに合っているかどうか」を踏まえつつ、微調整を繰り替えす感じです。
フィルタのモーフィング機能に該当する機能を持たない波形編集ソフトを使っている場合は、同じ靴音の波形を2セット用意しておいて、まず片方だけにローパスフィルタ(低域通過フィルタ)を掛け、このローパスフィルタを掛けた音から、掛けていない音へとクロスフェード(片方をフェードアウト、もう片方をフェードインするようにして2つの波形をミックスする方法)すれば曇った音からはっきりした音へと音質を変化させることができます。
そして、「響いて聞こえる→響かない」のコントロールは、残響成分を作り出す専用のエフェクト「リバーブ」を使うことで表現できます。最初に2セット同じ靴音の波形を用意しておいて、片方にリバーブを深めに掛けて、またもやクロスフェードによって、徐々にリバーブを浅くしてやればよいです。あるいは、最近の波形編集ソフトでは、非破壊編集機能といって、リバーブなどといったエフェクトの掛かり具合だけをオーディオファイルとは独立して変更する機能が付いていますので、これでコントロールすれば簡単です。
このサンプル(MP3)を聴いて違いを確かめて見て下さい。単純に音量を変えただけのもの、次に「音量の変化+フィルタのモーフィング」、最後は「音量の変化+フィルタのモーフィング+リバーブの掛かり具合の変化」という順に音声が並べてあります。
単純な音量変化に比べて距離感や、臨場感みたいなものが分かりやすくなっていますよね?よねよね?
歩行スピードをコントロール
ぶっちゃけ、巷のライブラリで、表現したいシチュエーションに対し、靴音の種類と歩行速度の両方を満たすものを探すのは、意外と至難の業だったりします。
こんなときは、編集作業によって、歩行スピードをコントロールしてしまいましょう。
歩行速度だけでも色々なことを表現できます。急いでいるのか、落ち込んでとぼとぼあるいているのか、などなど。たかが歩行速度、されどこの歩行速度に情景を落とし込むことができます。
編集の仕方は簡単です。足音と足音の間には無音時間が必ずありますので、ここに更に無音時間を挿入するか、余分な無音時間を切り取ってしまえばよいわけです。無音のようで多少音が出ているので、これを切り取ったり、無理やり純粋な無音を入れるのに抵抗がある、という人は、波形編集ソフトにはストレッチ機能(音程を変えずに音を伸ばしたり、縮めたりする機能)がついているものがありますので、これを利用すればよいと思います。その場合はストレッチ機能によって足音そのものの音質が劣化してしまわないように注意して下さい。ほぼ無音な区間のみにストレッチを掛けるというのも1つの手です。
足音のテンポが揺れないようにある程度は注意しておきましょう。ま、完全に等間隔にしてしまうと、それはそれで機械みたいな感じで不自然なので、ほどほどでOKですけどね。
よろけ具合をコントロール
普通に歩いている場合は、足音のテンポをおおよそ一定に保つべきですが、よろけながら歩くというのもシチュエーションの表現として十分ありえます。
編集方法としては先ほどの歩行スピードのコントロールと同様、無音時間を挿入したり削除したりするわけですが、「どうやったらどんなシチュエーションが表現できるのか?」というのは、一通りのテクニックがあるわけではありません。むしろ台本などからイメージを膨らませた上で、登場人物の心理状態を汲み取り、それを足音の間隔へと変換する作業となります。なので、想像力というか、読解力といか、そういうものを養う必要があるかと思います。
「酔っ払って千鳥足な感じ」、「戦闘で深手を負って、びっこをひく感じ」、「変な人があらわれてたじろつく感じ(29:17)」、「急いでいたら自転車に衝突しそうになって、あわてて左右によける感じ」など、ひとえに「よろける」といっても色々なパターンがあります。通常はここまで台本などには書かれていませんので、言葉の代わりに足音のよろけ具合を使って、行間に書かれたシチュエーションを説明するといった感じとなります。
ま、この辺をあえて勉強したいのならば、ドラマCDや、アニメ、あるいは(それなりに値の張る(笑))舞台演劇などで役者の足音に耳を傾けるとか、したらいいんじゃないかと思います。僕は特にはやっておりませんが(笑)
最後に
さて、今回は足音を中心に解説させて頂きました。しみじみわかったかえ?
例によって字数が余った(目標4000文字)ので、「みかるそうる」ではほぼ毎回出てくる「整体する音(ガリポキッボキ!みたいな骨の鳴る音)」をどのように作ったのかを解説してみたいく思います。
この音、最初はライブラリを使ってしまえ!と思っていたのですが、どうもそれらしい音がない。。。それで自前で作ることになりました。
最初、割り箸とかでも折ってみて、加工元の音を作るつもりでしたが、演出者「甲斐ひろかず」氏の提案により、ペットボトルをペシペシ潰した音を加工して、骨の鳴る音を表現することになりました。
まず、Volvicの1.5リットルペットボトルの上部を、なるべく骨っぽい感じがでるように気を働かせてペコペコ押さえた音を録音します。で、フィルタを使って、60Hz~160Hzの体に響く感じの帯域と、1.5KHz~3KHzのザクザクした質感を出しやすい帯域を強調しました。どれくらい強調したのかは覚えていないのですが(〇rz)、多分露骨に20dBくらいはやった気がします。さらに、もう少し音を鈍くするため、6KHz以上はカットしました。これも多分-20dBくらいだったような気がします。
次にコンプを加えて音量を均一にします。
そして今回は、作中の大技として整体をやっているわけですから、骨の鳴る音は多少、派手目にしておく必要がありましたため、左右のチャンネルの出音を20msくらいずらして、独特なステレオ感を出すようにしました。
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