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2007.01.28

みおくり

昨日は故郷に帰る友人をおみおくりした。
彼は僕よりも1年歳下。12年ほど前、高校卒業と同時に声優を目指して北海道から上京してきた。
それで声優自体は何年か前に諦めていて、そのまま東京で働いていたのだけれど、ここのところ体調が思わしくなく、しばらく故郷に帰り養生することにしたそうだ。

で、昨日は1時からカラオケを4時間ほど歌い、その後飲み屋で終電まで騒いだ。
集まった5人は不思議な縁で結びついている。

1998~99年という時代は、一般消費者たるワレワレがインターネットに出会った時期だ。
他人のホームページを探して、サイト作りや公開しているコンテンツの味わい、日記でのくだらない呟きみたいなものを見るだけでも、十分面白かった時代だった。
なにしろ、それまでは他人の私的な部分を直接垣間見ることなんてなかったわけで、いきなりお茶の間や個室の一部分が全世界で共有されはじめたわけだ。
そして、掲示板やチャットというメディアを通じて住んでいることろも所属も異なる人々がだべりはじめた。
とりわけ同じ都市部で暮らしている人間同士はネット上でだけではかく、実際に会って飲み会なりカラオケを楽しむといった行為を頻繁に行うようになった。
ちょうど掲示板やチャットでやっていることを、リアルな方へ延長するような感じだ。

昨日の飲み会に集まったのもまさにそうした流れで集まったメンツだ。
そしてその拠点となったのが彼のホームページ。
僕が彼のサイトを見つけたのは1999年の秋、当時彼はまだ声優を目指していて、サイトからもその熱は十分に伝わってきていた。
当時はまだ珍しかったネットラジオを既に1年続けていた。
声優志望で、新しいテクノロジーを意欲的に使い、そしてオタク文化に造詣が深くて(というよりオタクそのものというべきか)
機転の利いたレスポンスを返せる人。
方向性の分かりやすさと、普通の個人サイトでも人が集まってきていた当時の状況、サイト運営者のレスポンスの良さも相まって、彼のサイトの掲示板には色々な人たちが集まってきていた。
こころざしを同じくした声優を目指している人々、ゲームオタク仲間、そしてその友達、
掲示板のログを読むだけでも皆個性的なメンバーが集まっていることが伝わってきていた。

ちょうどその頃僕はネットを始めたばかりで、
自分のサイトを立ち上げて、学生時代に作った自作の音楽なんかを公開する予定だった。
当時はまだテレホーダイの時代で、64Kbpsというナローバンドで、かつ11時以降じゃないと通話料金が取られるというとんでもない時代だった。
今でこそ音声はMP3などの枯れた技術で圧縮することが普通だけれど、
ナローバンドでもなるべくストレスなく楽曲をダウンロードしてもらうために、圧縮効率の高い音声フォーマットを物色していたタイミングで、たまたま彼のサイトを発見したわけだ。

ナローバンドの時代に、30分ものラジオ番組をネットで公開するというのは、それだけでも少しチャレンジングなことだった。
彼はTwinVQという圧縮フォーマットによって20KBpsまで圧縮率を上げて、3~4Mバイトのファイルでラジオを公開していたのだ。
僕はネットラジオというメディアの可能性にときめいた。
30分という音声作品を個人の発想で自由に形づくることができる。
CMも入れる必要はないし、お決まりのタイムスケジュールにあわせる必要もない。
自分よりも1年も先にそれを実践して、コミュニティを形成していた彼を魅力的に思ったものだ。

そして彼のサイトとの出会いは、「ネット声優」という新たな表現者の層との出会いでもあった。

遠く離れた場所にいる人たちがオンラインで自分の声を録音したファイルをやりとりして、
誰かがそれを1つにつなげて、ボイスドラマという作品に仕上げ、サイトで公開する。
ゲーム製作者が、自作ゲームに音声を当てるために、募集サイトで告知をして人を集める。
的確な情報を開示して募集をかければ大体は10人程度の集まってくるのが普通で、
メールのやり取りによって、オーディションをすることもできる。

ネット上でのクリエータ同士のバーター経済が成立を見せる中で、
音声データをやり取りするコストや技術的な敷居の低下に伴い、「声優」という新しいセクションが膨らんできたわけだ。
彼はネット声優初心者向けに、音声の録音や、機材の選定、サイトでの公開方法、募集に応募する際のメールマナーなどのコラムを最近まで更新していて、それは今でも読むことができる。

そして、そんな思い出深いかれは2月1日の早朝の便で北海道は札幌市南区に帰る。
体調戻ったら戻ってきておくれよ~~~(・・、)ノ~~

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